ナンバースリーが麗。
染め上げた金色の長い髪に、うっとりとした眼差し。
一昔前のビジュアル系バンドのギタリストあたりを髣髴とさせるような、妖艶な雰囲気の写真だ。


……うーん。
私は真剣に悩む。

この写真を見ても全然ときめかない。

女の子は、どんな気持ちでこんなお店に入るんだろう。
絶対に高いお金取られるだけに決まってるのに。

別にジュノと話したいだけだし、この店に入る必要なんてないんじゃないか……って。

そんな想いが頭を過ぎったその瞬間。


「あ、吸血鬼」

私の背中辺りで、そんな声がした。

私はゆっくり振り向く。

そこには。

ジュノと手を繋いだ綾香が、目を丸くしてジャックを見つめていた。

「ハーイ」

ジャックはにこりと笑って、手を振る。

恋人同士のようにジュノと固く手を繋いでいた綾香はあっという間にそれを解いて、ジャックの元へと駆け寄っていた。

「営業妨害?」

私のほうに歩いてきたジュノが、私の耳元で小声で囁く。


……ナンバーツーで良いとか言ってた割には、仕事熱心なことですこと!