ジュノが勤めているホストクラブに辿りついた。
ちょっと暗めの慣れない雰囲気に足が止まる。

店の外には写真が張ってある。

私はジャックから手を放してそれをまじまじと見つめた。


ナンバーワンホストの咲夜。
やや長めの黒髪、その間から鋭い瞳を覗かせている。
眉間に皺を寄せ気味なのは、そういう厳しい表情が好き、だからだろうか?
いかにも、俺ってSですけど何か?
的な。俺様っぽい雰囲気を醸し出している。

残念なのは、こんな中途半端な俺様男を見ても、何も思わなくなった私の気持ちだ。
この程度じゃ全然……、なんて。
咲夜って人も女子高生には思われたくはないに違いない。
私だってキョウを見てなければこんな風に思わなかったのに。

と、何故か少しだけ切なさを噛み締めてみる。


ナンバーツーがエイイチロウ。
……え、エイイチロウ?

もしかして、まだ二時間ドラマの探偵もどきを引きずってらっしゃいますか?

えーっと、写真から見て、ジュノだよね?
茶色い柔らかそうな髪に、子犬を思わせるような瞳。
アイドル然としたキュートな笑顔が、母性本能をくすぐるタイプに違いない。

それにしてもエイイチロウって。
なんて、ホストらしからぬネーミング。

いくら本人が希望したからって、店の人が止めてあげるってこともできたでしょうに。
私は肩を竦める。