それにしても。
魔界ってろくでもないところだとは思っていたけれど。

本当に、大変なところなんだ……。

私は想像を絶する世界の話に、言葉を失った。
キョウの仕事って、殺人!?


「ねぇ、ジャック。
今日、一緒にホストクラブに行かない?」

「ホストクラブ?」

「うん。
キョウの知り合いの悪魔が働いてるの。
それに、ほら。
私と会う前の日に会った綾香ちゃんもそこに通ってるみたいだよ」

「アヤカ?」

「うん、覚えてない?
私と会う前の日にアナタに血をくれた子なんだけど」

「ああ、あのサービス精神旺盛な可愛い子♪」

……どうせ私はサービス精神のない、可愛くない子ですよー。
と、拗ねたくなるような台詞にちょっとむっとする。

「興味ある?」

「そうだね。
どうせ僕が行かないって言っても、ユリアちゃんは行くんでしょう?」

……う。
案外私のこと、見抜いていらっしゃる。

「いいよ。
キョウさんの大事な人を一人で出歩かせるわけにはいかないからね」

さらりとジャックが言う。
うーん。この懐き方!尋常じゃない、よねぇ?
キョウは一体ジャックのために、何をやってあげたのかしら……。