月曜日、学校から帰ったらキョウはリビングのソファに座ってテレビを見ていた。
黒いジーンズに、黒のタートルネックのセーター。
もてあまし気味にその長い脚を組み、近くのテーブルにはコーヒーまで用意している。
「お帰り、ユリア」
「ただいま」
私にかける挨拶すら、珍しく適当。
だから放っておいたの。
なにせ私は女子高生。宿題に試験勉強にと忙しい。
けれども、それが間違いの始まりだった。
「ユリア、夕食出来たよ」
テノールの声と、美味しそうな匂いに誘われて私は勉強をいったん中断してダイニングへと向かう。
最初の頃、キョウが作る料理には、ありえないようなモノ……トカゲの尻尾とか、くもの巣とか、カマキリの鎌とか、テントウムシの水玉模様とか、たんぽぽの綿毛とか、トッピングに蝶のりんぷんとか、ああ、これ以上書ききれない……がたっくさん入っていてどうしようかと思ったのだけれど、彼、学習能力だけは高いようで料理の本を沢山買い込んで片っ端から作ってくれるようになってからは、もう、安心だった。
約束事『日本のスーパーに売ってないものは料理に入れない』
黒いジーンズに、黒のタートルネックのセーター。
もてあまし気味にその長い脚を組み、近くのテーブルにはコーヒーまで用意している。
「お帰り、ユリア」
「ただいま」
私にかける挨拶すら、珍しく適当。
だから放っておいたの。
なにせ私は女子高生。宿題に試験勉強にと忙しい。
けれども、それが間違いの始まりだった。
「ユリア、夕食出来たよ」
テノールの声と、美味しそうな匂いに誘われて私は勉強をいったん中断してダイニングへと向かう。
最初の頃、キョウが作る料理には、ありえないようなモノ……トカゲの尻尾とか、くもの巣とか、カマキリの鎌とか、テントウムシの水玉模様とか、たんぽぽの綿毛とか、トッピングに蝶のりんぷんとか、ああ、これ以上書ききれない……がたっくさん入っていてどうしようかと思ったのだけれど、彼、学習能力だけは高いようで料理の本を沢山買い込んで片っ端から作ってくれるようになってからは、もう、安心だった。
約束事『日本のスーパーに売ってないものは料理に入れない』