キラキラと子供のように瞳を輝かせる私を見て、キョウは幾度も

「冷えるから、店内に入ろう?」

と誘ってくれるのだが、そのたびに私は首を横に振る。

だって。
クリスマスムード溢れる街を、誰かとデートするなんて初めてのことで。
これでテンションの上がらない女の子なんていないんじゃないかって思うくらい。

いつもの街じゃない。
ここは。
クリスマスの魔法にかかって、一際華やいでいる街だ。

キョウは自分のマフラーを外して私に巻いてくれる。

すれ違う人の視線を浴びることには、もうだいぶ慣れた私だけど。
それでもこうやって、公衆の面前で彼と向かい合って、この首にマフラーを巻いてくれる様を、行きかう人に見られているのは。
少し、照れくさくて。
かなり、誇らしかった。

彼、私の恋人よ、かっこいいでしょ?って。
自慢したくなっちゃう。

キョウは私にマフラーを巻きながら、くすりと笑う。

「ユリア、鼻が赤くなってる」

……げっ。

いいんです。
別に。


向かい合う彼の私に囁く言葉が、全然ロマンティックじゃなくても。

……(涙)