お風呂から上がると、いつものように朝の支度にとりかかる。
出発時間が迫ってくるので、段々、猫と悪魔の相手をする心の余裕もなくなってきた。
キョウが準備してくれる朝ごはんは、いつものようにやっぱり美味しい。
ホームベーカリー製の出来立ての食パンに、たっぷりのバターが塗ってある。
ベーコンエッグの茹で野菜添え。
オレンジジュースにヨーグルト。
ちょっとしたホテルの朝ごはん並みの豪華さだ。
こうやってキョウと一緒に優雅に朝食を食べるためだけに、実家に居るときより30分も早起きしているといってもいい。
えっと。
テーブルの下で黒猫がどこかから捕まえてきた鼠を生で食しているのは、見なかったことにしておこう。
「ユリア、今日はポニーテールは止めたほうがいいんじゃない?」
いつものように結い上げている私を見て、キョウが言う。
「……なんで?」
私は首を傾げる。
変な仕上がりになってるのかしら。
キョウは優雅な仕草でベーコンエッグを切り分けながら、にっこり笑う。
「ユリアが怒るから、教えない」
……私は齧りかけの食パンを置いて洗面所へと走った。
な、なんでさっきまで気づかなかったんだろう……。
私の左の耳たぶは、何が起きたんだというくらい紅い色に変色していた。
「ちょっと、キョウっ」
「仕方ないだろう?ユリアの耳たぶ美味しいんだから。片耳で我慢したんだから褒めて欲しいくらいなのに」
ダイニングからのんびりした、むしろ誇らしげな言い訳が聞こえてくる。
……こ、これは食べ物ではありませんよ!?
私はがくりと項垂れながら、ポニーテールを解かなければならなかった。
出発時間が迫ってくるので、段々、猫と悪魔の相手をする心の余裕もなくなってきた。
キョウが準備してくれる朝ごはんは、いつものようにやっぱり美味しい。
ホームベーカリー製の出来立ての食パンに、たっぷりのバターが塗ってある。
ベーコンエッグの茹で野菜添え。
オレンジジュースにヨーグルト。
ちょっとしたホテルの朝ごはん並みの豪華さだ。
こうやってキョウと一緒に優雅に朝食を食べるためだけに、実家に居るときより30分も早起きしているといってもいい。
えっと。
テーブルの下で黒猫がどこかから捕まえてきた鼠を生で食しているのは、見なかったことにしておこう。
「ユリア、今日はポニーテールは止めたほうがいいんじゃない?」
いつものように結い上げている私を見て、キョウが言う。
「……なんで?」
私は首を傾げる。
変な仕上がりになってるのかしら。
キョウは優雅な仕草でベーコンエッグを切り分けながら、にっこり笑う。
「ユリアが怒るから、教えない」
……私は齧りかけの食パンを置いて洗面所へと走った。
な、なんでさっきまで気づかなかったんだろう……。
私の左の耳たぶは、何が起きたんだというくらい紅い色に変色していた。
「ちょっと、キョウっ」
「仕方ないだろう?ユリアの耳たぶ美味しいんだから。片耳で我慢したんだから褒めて欲しいくらいなのに」
ダイニングからのんびりした、むしろ誇らしげな言い訳が聞こえてくる。
……こ、これは食べ物ではありませんよ!?
私はがくりと項垂れながら、ポニーテールを解かなければならなかった。