「それって、道端で急に裸体の男になるってこと?」

そのまま東京都迷惑防止条例に基づいてつかまってしまえ!
と、心の中で悪態を吐く。

くすくすと吸血鬼が笑う。

「それは、ユリアちゃんが何故だか術にかからないだけでしょう?
普通の人間には、きちんとした夜会服を纏っているように見えるはずだよ。
ですよね、キョウさん?」

「ああ」

キョウがにっこり微笑んだ。
サイテイだ、サイテイ。

あれですか?これ、私の左手に今もついている黒曜石の指輪が見える、見えないと同じ原理ですかね、こちらも。
この、中途半端に魔王様から注がれている力のせいで、私にだけこの一見美形吸血鬼が裸に見えるってこと?

な、なんかそれって私だけが変態みたいな気がして、とてつもなく嫌なんですけど。
何とかしてください!