「いくらなんでも、思うわけ無いでしょ、そんなことっ」

脊髄反射的に反論してみる。

だいたい、ジャックの裸なら見たことあるし、ちゃんと……、ねぇ?

とはいえ、あまりにも長い間、涼しい目元で見つめ続けられるので、二の句がつけない私は、敗北宣言も付け加える。

「……でも、ま、意味は分からないけど」

宜しい、と言わんばかりに上から目線で極上の笑みを浮かべるキョウ。

「まぁ、俺にしたってジャックが蚊の生態についてそこまで知っていたとは思ってないさ」

ああ、そうですか。
やっぱり、ただの雑学王なんじゃないですか!
そうやって隙あらば、自分の知識を無理矢理披露しようとするあたり。

もっとも、私がそんな念を瞳に込めてみたところで、キョウが動じるはずもない。

「でも、蚊の話は抜きにしたって分かるじゃない。
知識の問題じゃなくて、観察力っていうか、推理力?
ま、そこまでオーバーなものでもなくて、誰にでも分かりそうなものなんだけどな」

本当に分かってなかったなんて、驚きだ。
なんて、口の中で呟いている。

うーん。
どうせ私には、分からないですよー、だ。

心の中で舌を出す。