「人間なんて、皆美人の類だよ。
魔界の生き物には、確かに血を飲む気にならない不美人もたくさんいるけどさー。
人間は皆頭も一つだし、目鼻耳の位置も大した差異は無いし、手足の数も二つずつだし、二足歩行だし、毛深いったって限度があるし、綺麗な姿してるじゃん」

うーん、頭が複数あって二足歩行ではない毛むくじゃらな生物が魔界にはうようよ居るのかー。
ちょっとそれは想像したくない。

とはいえ。
別にキョウは私のことが美人じゃないなんて言った訳じゃなかったのね、と。
少しだけ機嫌が戻る……。

いや、待てよ?
ってぇことは、何ですか?
私の血、吸血鬼から狙われているってご存知の上でのあの発言?

自分の血さえ守れればいいと?

「キョウ」

「ん?」

キッチンカウンター越しに、味噌汁の味を確かめていたキョウがようやく私の呼びかけに応えてくれた。

「私、コイツに血を吸われる危機にある気がするんだけど」

「知ってるよ。
だから俺があんなに止めたのに。
どうしても、面倒見るって聞かなかったじゃない。ユリアって意外と自己犠牲精神豊富なんだね。そういうところも好きだよ♪」

……自分の血さえ吸われなければ後はどうでもいいんですか……

やっぱり悪魔なんて大嫌いー!!(涙)