「試してみる?」

ニコリ、と、無邪気な笑顔。

「No,thank you」

口から英語が出てきたって事は、多分もう、頭がこのやりとりを拒否しているのだろう。

「ちぇっ。
さっきだってちゃんと痕もつかないように舐めてあげたのに」

僕って優しいよね~と、ご満悦な誰かさんを引き連れて、私はリビングへと戻る。
美味しそうな醤油とみりんのハーモニーが私をうっとりさせた。

「だいたい、吸血鬼って処女の血じゃないとダメなんじゃないの?」

「そりゃ好みの問題だよ。
大丈夫、僕はそんなえり好みはしないよ。最近じゃ、男女どっちの血でもイケるって仲間もいるし♪」

そ、そうなんですか?
あんまり深くは追求しないようにしますけど、その辺。

「僕は人間界なら、若い女性の血なら誰のでも歓迎だなー」

「あれ?美人しか襲わないって」

私は首を傾げる。確かにさっきキョウが言ってた。
だから私は(許し難いけど)安全なのかと……