神様が面白そうに唇を歪める。

「悪魔も年取ったら丸くなるんだ、へぇ」

「そう思いたければ、そのように。
とにかく、後1000人。
そっちに送ればいいんだろう?
そもそも、猫と吸血鬼のハーフなんていう異形のものを産み落とすこと自体に問題はないのかよ」

キョウはついに、敬語を使うことさえ止めたようで、私の後ろから真っ直ぐに神様を見ていた。

「……責任、責任ってなぁ。
そうそう、世界の全てに目をやれるわけがないだろう?
今だって、魔界のどこかでは重大な問題が起こっているかもしれないっていうのに、こうしてお前たちが引き止めているではないか」

「それはそれは。
ちっとも気づかずにモウシワケゴザイマセン」

心がまるでこもってない。
ほぼ棒読で、キョウがいう。

えーっと。
私のほぼ真上で視線を絡ませあって火花を散らしあうのは出来ればやめていただいたほうが嬉しいんですけど。

ひぃいいっ。
こ、怖い。

美形同士の壮絶な睨み合いって。
もっとこう、うっとりするような素敵なものかと思っていたんだけど。

ただひたすらに、怖ろしいだけでした。


このままじゃ、ジャックの寿命が程よい長さに伸びるのを見届ける前に、私の寿命がなくなっちゃう!