「Did you call me?(呼んだ?)」

ふいに傍から声がする。
どこからともなく現れたのは、金髪美形の神様で、あいもかわらず性別すら判らない綺麗案顔でふわりと微笑む。
ジーンズに革ジャン、といういかにもアメリカ人っぽい格好もこれまた問題ないほどしっくりと似合っていた。

「呼んでませんよ」

その声に被せる様にキョウが低い声を出した。
その冷たさに私は目を丸くする。

ちょちょちょ、ちょっと?
この方は魔界の神様、なのよね?

「相変わらず冷たいなぁ、キョウは。
ラスベガスなんかより、グリーンランドにでも行けばいいのに。
ついでに、サンタクロースに代わって世界中の子供たちに夢だのプレゼントだのってやつを配ってやれよ。
そうすればさ、ほら。
一年間魔界で汚れきったその心も少しは洗われるんじゃないの?」

さして気にした風も無く、神様は気さくに辛らつな言葉を返す。

「あの……。
すみませんが、私にわかるようにどなたか説明していただけませんか?」

ついに耐え切れずそう切り出したのは、ほかならぬ私だった。

「ほら、やっぱりリリーはキョウの恋人にぴったり。
こう、遠慮を知らないというか。
自分を突き通すというか」

神様が、やれやれとため息をついてミシシッピ川のように美しく流れるその金髪を揺らした。

え?
私、何かここで我が侭なこと言ったかしら?