耳って言うのは、こんなに官能を受け入れる部分だったのかしらと驚きを覚えるほどの快感が身体の中をのた打ち回っていく。

瞼は、まるで瞬間接着剤でくっつけられたかのように、まるで動かないので瞳を開けることは叶わない。

それでも。
自分の眉間に皺が寄っていることは十分に想像がついた。

自分の声とは思い難いほど、甘い声が漏れている。
身体の熱は上昇し、呼吸は段々乱れてくる。

気づけばぎゅっと。
私の指は、誰だか分からない人の背中を幾度も掴んでいた。


あ、背中って言っても服着てるわよ?ちゃんと。

くしゃり、と。
その人の手が私の頭を撫でる。

それは、頼りたくなるほど大きな手で。
何故だか私は安心を覚えた。

もしかしたら、相手は犯罪者かもしれないというのに。
呑気な自分に苦笑すらもらしたくなる。

「俺のこと、試してる?」

質問の意味が分からなくて、私は首を傾げる。

「どうしても、これ以上ヤっちゃ駄目だってアイツが煩いのに。
ユリアがそんなに誘うと、我慢できない」

意味が分からないとは言わないけれど、理解したくないような言葉を耳の傍で囁かれる。


つまり。
私はこの人と、そういう――大人の関係だったということなのだろうか。

アイツって、やっぱりきっと、自称「神様」のこと、だよね?