「悪酔いするのは淋しいから?」

「そうなのかな」

淋しいって言ったって。
どうして淋しいのかも分からないのに、変なの。

と、苦笑したかったのに、唇が上手く思った形にならない。

それどころか。頬が熱く濡れていた。
どうして私は泣いているのかしら。
酔いすぎたから?

それとも。
……それとも。

失った何かが大きすぎて、手に負えないから泣いているのかもしれない。

身に覚えのない指が、私の頬の涙を拭う。
あまりにもその手つきが優しくて、私はいつの間にかうっとりとただ、撫でられるがままに身を任せていた。

唇が、重なる。
誰とも分からない人とキスをして、こんなに気持ちよくなれるとは知らなかった。

……私って、もしかしなくても淫乱なのかしら?