素敵な人が大好きな笑麗奈から見ても、ジャックもエイイチロウさんも合格だったようで、ご満悦で話していることに私はほっとした。

……っていうか、調子に乗ってピンクのドンペリを頼むのはやめてもらえません?

私は目の前のグラスに注がれた、淡いピンクのアルコール入り炭酸飲料を口にする。

……飲みやすい!
ちょっと、16歳にしてお酒の美味しさを覚えてしまいそうで怖かった。

笑麗奈はそれを見逃さない。

「あら、百合亜これなら飲めるのね。
次はゴールド入れようか?」

と。
まるで、20代のOLさんのような風格でにこりと微笑んでいる。

「駄目駄目。
今日はここにお金を使いに来たわけじゃないんだからっ」

……私、呂律まわってなくないですか?ちょっとちょっと!

とはいえ、綾香もにこにこ笑って、会話に参加している。
今だけでも、辛いことを忘れてくれればいいのに、と。

私はそう願わずには居られなかった。

「俺が家を出てから数日経ったけど、問題はない?」

エイイチロウさんが話の流れを見ながらそっと、綾香に向かって話しかけた。

「ええ、だいたいは。
……でも、叔父に見合いを強要されて。
次の土曜日にお相手と会うことになってるんですよね」

アルコールに酔ったせいか。
綾香が頬を朱に染めて、舌足らずな口調で切り出した。