私はため息をそっと飲み込んで笑って見せた。

「凄いわ。
もちろん、その子猫ちゃんを借りるのにお金が掛かったりするのね?」

どう考えたってそんな都合の良いものが存在するはずもない。
カジノ店と黒猫のぬいぐるみレンタル業者が組んで客から金を巻き上げているに違いない。

現場に立ち会って無い上に、働いた経験など無い私ですら思いつく、簡単な詐欺じゃない。
それって。

パパ、よくそんなので会社の経営をやっていけるわね。

「あら~。百合亜ちゃんって細かいこと気にするのね、パパに似てしっかりしてるわ~」

と、ママは感心してから続ける。

「レンタル料は掛かるのよ。
子猫ちゃんのレンタル料、1000ドル。そして、後は儲けた金額の30%をペイするの。
それでも十分に元は取れる上に潤うんだから☆
百合亜ちゃんも右京くんと一緒に行ってみればいいのに。」

……約9万円のレンタル料に、儲けの30%のペイ?
決して安くは無いが、損はしないと言い切っているのだから損はしていないのかもしれない。