私は何を忘れているのか。
それを考えようとする度に、頭痛が走って邪魔をする。
「ねえ、私を刺した強盗、捕まったの?」
「まだみたいだよ。
早く見つかると良いね」
優しく返されれば、頷く他ない。
「ねえ、その、私のこと好きな人ってどんな人?」
うーん、と、エイイチロウさんは首を捻る。
そして、口元に極上の笑みを浮かべて応えた。
「僕の10倍以上、イケてる素敵な方ですよ」
……全然分からないんですけど?
きょとんとする私を見て、エイイチロウさんは再び表情を曇らせる。
「どうしたら思い出してくれるのかな?」
それは、私も知りたいところ。
口を開きかけたところで、病室のドアが開いた。
「百合亜ちゃん、大丈夫?」
……
私は言葉を失う。
動物愛護団体から吊るし上げられそうな見事な毛皮のコートで病院に乗り込んでくるママの方がずっと、大丈夫かどうか聞きたい対象にふさわしいのではないかと思うのですが?
それを考えようとする度に、頭痛が走って邪魔をする。
「ねえ、私を刺した強盗、捕まったの?」
「まだみたいだよ。
早く見つかると良いね」
優しく返されれば、頷く他ない。
「ねえ、その、私のこと好きな人ってどんな人?」
うーん、と、エイイチロウさんは首を捻る。
そして、口元に極上の笑みを浮かべて応えた。
「僕の10倍以上、イケてる素敵な方ですよ」
……全然分からないんですけど?
きょとんとする私を見て、エイイチロウさんは再び表情を曇らせる。
「どうしたら思い出してくれるのかな?」
それは、私も知りたいところ。
口を開きかけたところで、病室のドアが開いた。
「百合亜ちゃん、大丈夫?」
……
私は言葉を失う。
動物愛護団体から吊るし上げられそうな見事な毛皮のコートで病院に乗り込んでくるママの方がずっと、大丈夫かどうか聞きたい対象にふさわしいのではないかと思うのですが?