再び、神様の左側が引っ張られる。

「ん?
分かったって。
そんなにリリーに甘かったっけ?なんか、キャラ変わってない?
はいはい。ユリアがいいのね。
ああ、なんかお腹一杯。
私が神様だって分かってるよね?
感謝してるって?
そう言えば私の機嫌が直ると分かって感謝の乱用してない?
言っておくけど、あの黒猫の件だって貸しなんだから。
頑張って働いてよね、よろしく☆」

きらりん、と。
音を立てそうなほどの眩しい笑顔を浮かべて、空気にしか見えない何かと会話を交わしている神様。


私、どんだけ疲れているんだろう。

こんなわけの分からない夢を見ているなんて、重症だわ。


でも……
黒い猫、と、神様という言葉は私の中で繋がっていた。

それ以上思い出せないのだけれど。

「キョウがもう引き上げるって言うから、帰るね。
本当、早く寝ないとお肌に悪いし。
じゃあね」

言うや否や、それは夜闇に溶けてしまうかのようにすぅっと消えていった。
私はこみ上げる頭痛に耐えかねて、鎮痛剤を飲んですぐにベッドに横になった。

その時、何故か。
私が寝付くまでずっと、優しい誰かが傍にいてくれるような気がした。


私、ママに似て妄想するようになっちゃったのかしら……。