「……それで、アナタの隣の人は一体なんて言ってるの?」

私はずきずきと痛む頭に手をやりながら、仏頂面で神様とやらに聞いてみた。
ぎょっと、神様が大仰に瞳を開く。

「リリー。
神様を見くびると、天罰が下るよ?」

真剣ね。
怖ろしいくらい真剣な顔をしている。

もしかすると、この人は自分のことを神様だと信じ込んでいるちょっと気の毒な人なのかもしれない。

どうせ夢なんだし、まぁいいわ。
私もにこりと微笑んでみせる。

「すみません、神様。
取り乱してしまいました。
それで、隣の方は……一体、なんて?」

神様の顔を満面の笑みが彩った。

「そこまで丁寧にならなくても良いんだよ、リリー。
神様というのは、案外懐が深いものだ」

そうですか。

突っ込む気も失せた私は、とりあえず口を開かない。

ん?と、神様が左側を見た。

「約束通り、記憶は消さない。
絶対に迎えに来るから、少しだけ待っていて。

……だってさ。
はぁ、なんで神様ともあろう私がこんなこっぱずかしい台詞の伝言をしなきゃいけないんだ?
あれだな、あれ。
あの時流れていたテレビ番組が面白すぎたのが悪かったんだ。
今度、関係者に天罰下しておかないと」

と、伝言を終えた後、神様は一人でぶつぶつと不平を呟いていた。