日曜日の朝は遅かった。

キョウは約束通り、目が覚めたときも傍に居てくれて――

それが嬉しかったので、楽しそうに私の耳朶を弄んでいたことは許してあげることにした。

「おはよう、ハニー」

「寝てないの?」

「寝たよ、もちろん」

心配しないで、と。キスの嵐が降って来る。

誰かさんのせいで、体中がだるいのも相俟って、もう、何もかも忘れて一日中まどろんでいたい気持ちでいっぱいになる。

だけど。

明日からまた学校生活が始まることを考えると、そういうわけにもいかない。

私が動けるのは、今日しかないのだ。


一時間もだらだらとベッドの中で、キスと愛撫を受けながら心地よくまどろみ続けていたのだけれど

「コーヒー飲みたい」

そう切り出したのも私だった。

「今朝は何か食べれそう?」

まるで、病人を気遣うような眼差しに、またしても心臓がキュンと鳴る。
多分、こういうときは私。
都合よく忘れちゃっているのだと思う。

彼が、人ではない生物であるということを。

「お腹すいた」

「それは良かった」

どんな我侭も叶えてくれそうな色を宿して、極上の笑みを浮かべる彼は、私にとってもはや、人以上に大切な存在なのだ。