「……サイテー」
上手く呼吸さえ出来ず、泣きはらした瞳で、私はキョウに文句を言う。
上手く発音できているかどうか、全く自信はないけれど。
キョウは樹木の蜜を集めて溶かし込んだようなブラウンの瞳で、私を見る。
同じ行為をしてきたとは思えないくらい涼しい顔に腹が立ってくる。
これで、彼の頬が上気していなければ、私が被害者になって訴えてやってもいいくらいだ。(どこに?って聞かれても困るけど)
……そう思いたいくらい、私はぐったり疲れていた。
「ユリア。普通、こういうときは最高って言うんだよ。覚えておいてね☆」
甘やかに瞳を煌かせ得意げに囁くと、触れるだけのキスをくれる。
その厚い胸板を殴ってやりたいのだけれど、指先にさえろくに力が入らない。
「おやすみ」
「朝になっても消えない?」
「俺は夜露か?」
軽口を返して私をくすりと笑わせると同時に、自分の口許に苦笑を浮かべたキョウは、まだ汗ばんでいる私を、ためらいもなくその胸に抱き寄せた。
「今日は飛び切り淋しがり屋なんだね。
朝までこうしていてあげるから、心配しないで」
私の心臓の柔らかい部分をキュンと掴みあげるような甘言が聞こえる。
本当は、多分、キョウは気づいている。
身体が悲鳴をあげるほど激しい交わりよりずっと、私は優しく抱きしめられるだけのほうが好きだってこと。
激しく一瞬で消えてしまう花火のような関係より、ずっと長く消えない種火をゆっくり暖め続けたいって私が望んでいること。
もう一つ、確かめたいことがあったのだけれど。
もう一度キョウが私の頬にキスをする前に、私はずるりと暗闇の中に引きずられるように眠りについてしまった。
上手く呼吸さえ出来ず、泣きはらした瞳で、私はキョウに文句を言う。
上手く発音できているかどうか、全く自信はないけれど。
キョウは樹木の蜜を集めて溶かし込んだようなブラウンの瞳で、私を見る。
同じ行為をしてきたとは思えないくらい涼しい顔に腹が立ってくる。
これで、彼の頬が上気していなければ、私が被害者になって訴えてやってもいいくらいだ。(どこに?って聞かれても困るけど)
……そう思いたいくらい、私はぐったり疲れていた。
「ユリア。普通、こういうときは最高って言うんだよ。覚えておいてね☆」
甘やかに瞳を煌かせ得意げに囁くと、触れるだけのキスをくれる。
その厚い胸板を殴ってやりたいのだけれど、指先にさえろくに力が入らない。
「おやすみ」
「朝になっても消えない?」
「俺は夜露か?」
軽口を返して私をくすりと笑わせると同時に、自分の口許に苦笑を浮かべたキョウは、まだ汗ばんでいる私を、ためらいもなくその胸に抱き寄せた。
「今日は飛び切り淋しがり屋なんだね。
朝までこうしていてあげるから、心配しないで」
私の心臓の柔らかい部分をキュンと掴みあげるような甘言が聞こえる。
本当は、多分、キョウは気づいている。
身体が悲鳴をあげるほど激しい交わりよりずっと、私は優しく抱きしめられるだけのほうが好きだってこと。
激しく一瞬で消えてしまう花火のような関係より、ずっと長く消えない種火をゆっくり暖め続けたいって私が望んでいること。
もう一つ、確かめたいことがあったのだけれど。
もう一度キョウが私の頬にキスをする前に、私はずるりと暗闇の中に引きずられるように眠りについてしまった。