私は手を挙げて今にも指を鳴らそうとしているキョウを引っ張って外に連れ出した。

「何?ユリア。
一秒でも早くベッドインしたいの?」

……殴ってもいいですか?

私が握りこぶしを作ってわなわな震わせているのを見て、キョウはくすりと笑った。

「冗談、冗談。
部下を呼びたいだけなんだけど」

「だから、ここで呼んで?
綾香はジュノのことホストだって、人間だって信じてるんだから。
混乱させないで」

キョウは肩をそびやかす。

「ユリアは本当、俺以外には優しいんだから」

……そんなつもりじゃないのに。

言い訳をする暇も無いほど素早く。
パチリとキョウが指を鳴らした。

さぁとジュノが現れる。

「どうだった?」

「なんていうか、あの後皆揃って外に塩とか撒きだしたんですけど……。
お払いを呼んで来ようとか、結構真顔で話してました。
大丈夫でしょうか、あの人たち」

ジュノは首を捻っている。

「まぁ、ああいうヤクザな連中ってのは多かれ少なかれ大丈夫じゃないさ、気にするな」

自分が元凶の一つであるくせに、他人事のようにさらりと言い捨てるから手に負えない。