遅めのランチを終えて、なんとなく手持ち無沙汰になった私はソファで読書を再開したキョウの傍でため息をついた。
「ねぇ、毎日ママにメールしてる?」
「もちろん」
「私もケータイ電話欲しいなーって、ママに言って?」
「駄目駄目。ユリアにはそんなもの必要ないよ」
「どうして?」
「俺とだけ連絡取れればそれでいいんだから」
……って、どんだけ束縛するおつもりですかっ。
「じゃあ、指輪返してよ」
キョウは悪戯が見つかった子供のように肩を竦める。
「ばれてた?」
「うん、かなりばれてた」
ティファニーで黒曜石の指輪を外して以降、それは私の左手に戻ってこないままなのだ。
「ちょっと、あれ、貸しておいて。
少し魔力が落ちてきたから」
そういえば、私はキョウと暮らし始めて以降、一度も魔界に行ってない。
つまりはあの指輪もずっと人間界にあったということだ。
「じゃあ、その間キョウとは連絡取れないの?」
何気なく呟いた一言を耳に留め、キョウは本から顔をあげた。
黒い瞳に光彩が宿る。
「淋しい?」
私は、別に、と言おうとして、口を噤んだ。
「淋しい」
素直にそう、答えてみる。
「ねぇ、毎日ママにメールしてる?」
「もちろん」
「私もケータイ電話欲しいなーって、ママに言って?」
「駄目駄目。ユリアにはそんなもの必要ないよ」
「どうして?」
「俺とだけ連絡取れればそれでいいんだから」
……って、どんだけ束縛するおつもりですかっ。
「じゃあ、指輪返してよ」
キョウは悪戯が見つかった子供のように肩を竦める。
「ばれてた?」
「うん、かなりばれてた」
ティファニーで黒曜石の指輪を外して以降、それは私の左手に戻ってこないままなのだ。
「ちょっと、あれ、貸しておいて。
少し魔力が落ちてきたから」
そういえば、私はキョウと暮らし始めて以降、一度も魔界に行ってない。
つまりはあの指輪もずっと人間界にあったということだ。
「じゃあ、その間キョウとは連絡取れないの?」
何気なく呟いた一言を耳に留め、キョウは本から顔をあげた。
黒い瞳に光彩が宿る。
「淋しい?」
私は、別に、と言おうとして、口を噤んだ。
「淋しい」
素直にそう、答えてみる。