「えっと。
やっぱりアレかしら?
そういうのって、支払いが滞ると……」

あまり想像したくないんだけど。
ジュノは、子犬のような笑みで答える。

「そう。
カラダで返すらしいよ?」

明日の天気は晴れらしいよ?って言うのと同じくらいの軽い口調で言うのはやめていただきたい。

「駄目よ。
綾香はまだ未成年で……」

って、ここで言っても仕方がない。

「ジャック、話は分かる?」

猫と吸血鬼のハーフが、どれほど日本の金融事情に詳しいのか把握しかねて私は、黙り込んでいる顔色の悪い美形青年へと声を掛けた。

「分かる」

ジャックは、蒼白な顔でこくりと頷いた。

「ジュノ、ゴメン。
悪いけど、今回私はその……。
とても、現場までは行ってあげれない、気がする」

いくらなんでも、おっかない職業の人たちと対峙する様な度胸は持ち合わせていない。

「僕が行く」

立ち上がったのはジャックだった。

「ほら、ジュノ。
二時間ドラマには、男同士の組み合わせだって珍しくないわよ?」

私は余計な一言を挟む。
ジュノは諦めたように立ち上がった。

「分かりました。
また、報告に伺いますね」

二人が玄関から出て行くのを、見送ったのは私だけだった。