「まずさ、両手をこう、一つにして手首をぎゅって縛るわけ。
それから、両方の腕をこう、リボンをまきつけるようにぐるぐるとラッピングしていってね……。いや、腕も動かないようにしたほうがいいのかな?
どっちが好き?」

いやいや。
DSの本体、何色をプレゼントしてもらおうか!って悩むような子供の目をして私を見ても、駄目ですよー!

「足は絶対にそれぞれ別にするんだけどな。そのほうが都合がいいし」

とか、私の返事も聞かずにぶつぶつ言ってるんですけど。

……大丈夫かな?

「……いい、そのプラン、教えてくれなくて結構。むしろ、考えないで」

万が一にも、隣のテーブルでうっとりとキョウを眺めているデート中のお姉さんに聞かれでもしたら大変だ。

百歩譲って、このイケメンがド変態だってことがばれるくらいは我慢する。
でも、その連れ合いが私だって思われるのは、幾らなんでも耐え難い。


私は慌ててキョウの言葉を止めた。

「クリスマスプレゼントはお金で買えるものだって、決まってるの」

あからさまな嘘をつく。

なのに

「えー。
本当に日本人って拝金主義だよね。
そういうのってどうかと思うよ?」

なんていいながらそれを信じてしまうのだから。

一度、彼が信じる日本人の定義とやらを聞いてみたいような、聞いてみたくないような。
いや、聞かないほうが良い気もする。


私は頭を抱える代わりに、冷めかけたカプチーノを一気に胃に流し込んだ。