早川君は結局、帰り際に鞄を取りにきてすぐ帰った。

全く私の方を見なかったから、明日の席替えが終わったら二度と近付くことはできないかもな。と感じる。


私は多分早川君に嫌なヤツだと思われたから。

悲しい気持ちになりながら、教室をでる時に、並んでいる私と早川君の席を見つめた。


「バイバイ。」

いつも帰り際に言いたかった一言。

隣の席でも言えないのに、もう言うことはないんだろうな。

目の奥が少し熱くなった。

さようなら、私の少しだけの恋心。

ため息をついたら私の席の側のカーテンが少し揺れた気がした。



恋っていう病気があるとしたら、私は重症だ。

それも、もう終わったけれど。

夕日に染まる教室は、まだ新学期の香りが残っているというのに。