散々、菜緒からの早川君に対しての文句を聞かされた午前中を過ごした気がする。

早川君は戻ってこない。


早川君、私たちまだ隣の席だよ。

話すことはできないけれど、早く戻ってきてほしい。


この事実を知ってほしい。



「…トン。」

ぼーっとしていた私に響く音が聞こえた。




早川君が、席についた。

この音知ってる。

早川君の癖だから。


上履きの爪先で床を軽く蹴る音。

隣の席だからわかる。
だから、私の癖も…?