ホームルームがはじまって、菜緒はすぐに席替えの話を担任に質問した。


「やっぱり、しばらくはしない。すまん。」

担任の言葉で菜緒は落胆し、私の心は跳ね上がった。

この気持ちがピアノだとしたら、鍵盤は絶対に足りない。

軽やかなリズムで端から端を勢いよく駆け抜けるのだから。


菜緒、ごめん。

この気持ちはいつか聴かせるから。


私は今日という日で確信したのだ。


「恋」をしている。