私は、気付いたら走っていた。

早川君の背中を目指して。

だけど、それも追い越して。

一瞬、シャンプーの香りが通り過ぎただけ。

早川君は驚いただろう。

こいつ、昨日のことまた気にしすぎて馬鹿みたい、て思っただろう。

でも、私のパニックになった心を消すために走ることの選択しかなかった。

学校に、いつもより早くついたのが急に自分が馬鹿らしかった。

どうせ、隣の席には早川君が座るというのに。

席替えの時間も今は早くきてほしかった。

乱れた髪を治しながら、席につくと机に突っ伏した。