朝ご飯を食べるのと制服を着るスピードが遅かったため、本当の気持ちとは裏腹に急いで玄関を出ることになった。

少し急ぎ足で学校へ向かう。

せっかく家から近い学校を選んだのに、遅刻だとか大変だ。

しかし…私は、目の前に一番恐れていたものを見た。


早川君だ。

早川君が余裕な足取りで歩いている。


「なんで、こんな時に…」

小さく呟いて、聞こえないはずなのに、早川君は振り返ってしまった。

昨日から、よくできた運命のイタズラが憎い。


「あっ…。」

私は思わず足がすくんでしまった。

だけど…

早川君は、私に気付いたのにスタスタと、前より早く歩いていった。


…そうだよね。

昨日ひどい態度とってしまったし。

もしくは、私のことなんて眼中にないからどうでもいいのかもしれない。

昨日も気紛れで声かけて、面倒なことになった、位だと思う。

うじうじした私に、もう声をかけてくれることはないだろう。