こ、怖かったっっ!!

怖かった、怖かった、怖かったっっ!!


思わず自分の全身を手で弄る。

よかった、体のパーツは全部揃ってる……。
私本当に…… 無事に帰ってこれたんだ……。


ハァ~っと息を吐きながら、お店の裏口のドアを背にズルズルとその場に座り込んだ。


呼吸を整えて脳に酸素が回るとともに、頭の中がこの長かったようで短かった時間を、ゆっくり回想し始める。

あの太男に追いかけられてた時は、こんな事態に陥るとは想像もしてなかったけど。
結果的には…… あの狼に助けてもらったんだよねぇ……。

まさかあんな場所に足を踏み入れちゃうとは。
何だかいつでも楽しそうな清さんは、まぁ普通に話できそうだけど。

それにしても、あのガイって人っ!!
怖いよっ!!
怖いなんてもんじゃないよっ!!
悪魔がいたらきっとあんな顔してるんだよっ!!

………だいぶ美形な悪魔だけど……って!!


なぜか私のコト知ってたし。
なんで私のコト知ってるんだろう?
私も… なんでガイって名前が引っかかるんだろう?


あんな怖い人、1回見たら忘れられそうにないのに……。
夢にまで出てきてうなされそうなのに……。


ブルッと身震いをすると、お店と繋がるドアが開いて、母が顔を出した。