商店街を半分進む間中『本当にココでいいですから!!』と繰り返す女。
うるせぇから女のバイト先が見え始めたトコで別れた。


最後まで『ありがとうございました』とは言ってたものの、その顔は完全に引き攣っていて、クルリと向きを変えると一目散に店に向かって走り去った。


それを笑いながら見ていた清は

『恋ちゃんってさ、見かけによらず、すげぇ足速ぇーよな?』

呑気にそう言う。

女が店に入ったのを見届けてから、俺らも今来た道を戻り始めた。



『んで?』


「あ?」


『週末なに?』


「あぁ……」


『ってか何で知ってたんだよ、恋ちゃん?』


「あぁ。」


『ふーん、なるほどねぇ。』


清には余計なこと言わなくても、だいたいコレで話が通じる。
付き合いが長ぇコトもあるんだろうが、清は恐ろしく頭の回転が速ぇ。
結構複雑な家庭で育ったせいもあるんだろう、人の気持ちだの表情だのを読み取るのが得意なんだと本人が前に言っていた。
好き勝手に理解したり解釈したりしてるけど、それらが外れることは無いに等しい。


『だけど、それにはさ…… 恋ちゃんあんなビビってちゃダメだろ?』


「………ソコは俺にはどうしようもねーだろうが。」


『いや、かなりお前次第だと思うけど。』


「あ?」