「紅、しばし矢を防げ」

「何…?」

私の言葉に訝しげな表情を見せる紅。

「作戦会議だ」

私は笑みを浮かべ、紅の隣に立ち止まった。

直後またも降り注いでくる矢を。

「それで」

紅は先程同様、魔槍の回転で防ぐ。

「妙案は思いついたのだろうな?」

「ああ」

私は槍を回転させる紅に耳打ちする。

「…何だと…!?」

紅の表情が驚愕に染まった。

それだけで、私は彼を打ち負かしたような何とも言えぬ気分になる。

「お前正気か?俺にそんな力があると思っているのか?」

「私にばかり作戦立案を押し付けるからこうなる。明日は筋肉痛を覚悟してもらうぞ?」

困惑する紅に、私はニヤリと笑う。

「それに断らぬ所を見れば、『不可能ではない』のだろう?」