そのまま優しく抱きしめてくれた響の胸で泣いた。



苦しいよ…。



もうイイのに…。



今は響といれるだけで幸せだから…。



もうやめてよ…。



「失礼致します…。」



スゥーッと開いた襖に眼をやると女将さんがいた。



やっぱり似てるのかもしれない…。



「ごめんなさい…。ただそれだけ言いたくて…。」

「女将さん、里佳チャンは今俺と住んでます。家ですげぇ扱いされてて…。苦しくて仕方なかったと思うんです。」



響…。



泣けるからやめてよ…。



「何があったにせよ…。里佳チャンを手放したあなたの罪は消えない。」

「わかってます…。本当にごめんなさい…。ごめんなさい…。そして誕生日おめでとう…。こんなに大きくなって…。」



覚えててくれたんだ…。



あたしの誕生日…。



お兄ちゃんしか祝ってくれなかった誕生日…。