ふるえる手で彼から名刺を受取る。

「あ、あの」

「はい」

私の震える声に少し笑いながらも返事をしてくれる彼。

「私、も、いつもあなたがいるのでこの車両に乗っていたんです」

勇気をだして。

彼が伝えてくれたことを、私も彼に伝えたい。

「だから、あの」

うれしい、と口に出す前に、彼の手がそっと私の手とかさなって。

「・・・俺、やばい」

俯いた彼の耳がほんのり赤くなっているのが見えて、私も真っ赤な顔のまま俯いてつながれた手をただ見つめていた。