確かめるように私の名前を口にした彼に、もう心臓が爆発寸前。

い、息苦しいよ・・・。

「は、はい」

思わず、返事なんてしちゃって私おかしいって!

ここが電車の中じゃなくて、さらに狭い2人掛けの座席に座っていなかったらきっと私すごく挙動不審に動いていたかも。

周りに他の乗車客だっているのに、この座席だけ別空間のように感じてしまうくらい、今の私には余裕がなくて。

心も頭も、今隣にいる彼のことだけだった。

「よかったら、これ・・・」

スーツの内ポケットから取り出した名刺の裏に、携帯番号とアドレスを書き込んだ彼は、それを私に渡してくれた。

「もし、迷惑じゃなければ、連絡していただけませんか」