勇気を出して顔をあげれば、初めて目を合わす彼。

とてもきれいな瞳に見つめられて口から心臓が飛び出そう!

今、同じ電車ですねって言ったよね?いつもって言ったよね???

パニックになっている頭を、必死に冷静に冷静にと落ち着かせつつ、何かしゃべらなきゃ!とますますパニックに陥ってしまう。

「いつも同じ扉から乗ってくるので、俺もいつもここに座っていたんです」

彼の言っている言葉の意味を理解するのに、すごく時間がかかってしまう。

どういう意味?

私が乗ってくるから、ここに座っているってこと?

え?

「あの、え?」

なんだか間抜けな顔をしているであろう私を見て、まだ名前も知らない彼が笑っている。