~Hikaru~





「なんで…桜さんが…。」





目の前で薄ピンクの傘を差して、




ムスッとした顔をした桜さんがいた。





「それはこっちのセリフ。」




桜さんは歩み寄る。




「引越しは修学旅行終わってからって言ったじゃん。


 一緒にいろんなところ回ってくれるって言ったじゃん!」






桜さんは雨と一緒に泣いていた。







「ごめん。僕、幸ちゃんを裏切れないよ。。。」






「じゃあ、私の事は裏切れるの!?」







桜さんは怒鳴る。









「違う…。」





違ってないよ。



僕は桜さんを裏切ったんだ。





そして、幸ちゃんを…







「やっぱり新井さんを選ぶんだね。」








桜さんの表情は和らいでいた。







「うん。。。この気持ちだけは変わらないから・・・。」




「私の事は…?」





「・・・友達だよ。」








桜さんは“そっか”とまた涙を流した。







桜さんは今まで、僕と同じ位置にいた。








僕がそうさせていたのかもしれない。。。









僕は僕自身の立場を誰かに知ってほしかった。