「そこまで予想ができてて、俺にあれを押し付けたのか?!」

 
 今まで読んでいた本をパタリ、と閉じてラナルフを改めて見遣る。


 「言葉が悪いね。ただ本当のことを言っただけで、押し付けたわけじゃない」

 「それでも、俺のところに来るように言ってたんだろ?」

 「間接的にではあるけど、そういうことになる」

 
 怒気を孕んだラナルフの問いに、リーシャは頷く。
 頷いたリーシャにラナルフの表情は益々険しくなる。


 「…俺が今、何を言いたいか解るか?」

 
 ふと、聞こえるラナルフの声は怒りの所為か僅かに震えている。
 

 「何を勘違いしてるのか知らないけど、私には君の心を読むことなんて出来ないよ」

 「……つまり、解らないと言いたいのか?」

 
 挑発しているようにも見える笑みをリーシャはラナルフへと向ける。


 「そう。賢くなったじゃないか」