呆然としたままの兄達を一瞥し、リーシャは嘆息する。

 
 「名誉かどうかはともかく、どの縁談も断っているって噂のラナルフ殿下だろう?話を受ければ他国の姫君達を溺愛する王達から睨まれると思うんだけど、それはどうするの」

 「いやねぇ、リーシャったら!それ以前に私達が大国の王子からの縁談を断れるわけが無いじゃない。縁談を断っても、受けてもどちらにしろ睨まれるわよ。それなら、縁談を纏めてグレイリーに何かとご助力を求めた方が得策でしょ?」


 何も考えていなさそうな調子で語る女王の瞳は威圧に満ちていた。この縁談は既に決定なのだから、逆らわずに行きなさい、と語っているようでリーシャは見なければ良かったと、残りの料理を口に運びながら思った。

 足掻いてもどうしようもないのだが、気の進まない縁談の所為で美味しい筈の料理の味は、味気ないものに変わっていた。