「み、巫女さん、どうして僕なんか……」

 至って当然な疑問だと思う。僕と巫女さんでは、台所の三角コーナーとエジプトのピラミッドくらい釣り合わない。

「一目見たときから、達筆君が気になって……。それに私には、必要なのよ」

 ええ!!
 まさかまさかの告白ぅ!?
 今まで、告白はおろか、女性とまともに喋ったことすらない僕が――。

「達筆君の『憑依体質』がっ!!」

 …………は?
 僕の耳はふし穴なのだろうか。『愛』とか『優しさ』とかが入っていなきゃいけない部分に、すごくびっくりな単語が飛び出してきた気がするぞ。

 真剣な眼差しで、僕をじっと見つめるその瞳に一瞬たじろぐが、もう一度聞いてみよう。

「あの、今、なんて?」

「達筆君の霊に憑かれやすい体質が、私には必要なの!!」

 噛み締めた唇と、膝の上できつく結ばれた拳が、真剣さを物語る。
 この仕草だけ見れば、一途な乙女のそれなのだが、言っている事は衝撃の事実の告知だ。
 ぐっと込み上げるのは、嬉しさからくるものなのか、悲しさからくるものなのか、正直わからなくなってきた。

「除霊するほど強くなれるのよ……。
私……、私が強くなるために、達筆君がいくら矢に刺さっても構わないっ!!」

 爆・弾・発・言!!