「達筆!! お前が俺の伝説を聞きたがるから、すっかり忘れてたじゃないか」

 僕のせい? 僕が悪いんですか? 僕、いつ聞きたがりましたっけ?

「これだから、眼鏡は駄目なんだ。達筆、お前、ちょっと自己中だぞ? そんなんじゃ友達できないぞ?」

 色々言いたい。言い返してやりたい。

 僕はなりたくて近眼になったんじゃないぞとか、自己中はどっちだとか、あなたに友達はいるんですかとか、あなたはナルシストなんですかとか、もう、色々。

 なんでこんなヤツが教師なんだ!!

 ちょっとこの高校、人選適当すぎじゃないか?
 いくら定員割れが激しい私立高校といったって、ひどすぎないか?
 それとも、この高校はこんなヤツを教師にしてしまうほど応募人数が足りないのか?

 なんだか、この高校とこの高校の生徒の行く末が不安になってきたぞ。

 だいたい、そのポーズは何なんですか。

 突き刺さんばかりにビシっと僕を指差し、反対の手は腰ってか?
 あなたは、笑うせえ●すまんですか?

 ああもう。この人といると、疑問符だらけになってしまう。
 さっさと退部届けをもらって、この人と一切の関わりを無くそう。

「ほら、時間のロスだ。言わんこっちゃ無い。
今日はだな、巫女ちゃんこと俺のマイスウィートハニーが来る日なんだ」

 言わんこっちゃ無い、って……。言葉のチョイスがちょくちょくおかしいのは、やはり、アホの裏づけなんだろうか。

 まあ、とりあえず、「俺の」と「マイ」は並べて使わないほうがいいと思う。高校教師として。