「そうだね。
これでようやく、部活設立届けが受理してもらえるわね」

剣道さんが冷たく言い放つ。

……やっぱり?

ほんのわずかでも、巫女さんが真剣に俺のことを心配してくれたと錯覚した自分に対してしょげている俺が居た。

「だって、バナナくんが居てくれないと3月までで部が終わっちゃうもの」

巫女さんは全く悪びれた様子は無い。

……まぁ、現実はこんなもんだよな。
俺は無意識に二本目のバナナへと手を伸ばしていた。

「大丈夫だよ、巫女ちゃん。
俺、絶対教師としてこの高校に戻ってくるから。
心配しないで」

キラキラと発光しているかのような声が降ってきた。
うっかり視線をやると、左膝をリノリウムの床に付き、右足を直角に曲げ、中世の騎士の誓いのポーズをとって巫女さんを真正面から眺めている殿がいる。
もっとも、伸ばしたては確実に巫女さんに無視されているが。

……っていうか今。
教職とってこの高校に戻ってくるとか。

末恐ろしいこと言ってませんでした?この人!

俺は息を呑む。

将来の後輩たちが気の毒で仕方がなかった。

ま、まぁ。
こんな人が教員免許なんて取れるわけないとは思うんだけど。
そんなことになったら、世も末だよね?

ね?

誰かそうだと言って欲しい……。