部室についたら、部員の一人がほっとした笑みを見せて俺の肩に手を置いた。

「来てくれて良かったー。部長、もう着替えて撮影室で待ってるよ」

えっと。
昨日撮ったばっかりなのに、今日も撮るんですか?
しかも、俺が!

普段ならここで一度断ってじゃんけんに持ち込んで、結局負ける……という不毛な作業をするのだが、今日ばかりは勝手が違う。

「わ……分かりました。
あんまり待たせると、発狂しますよね。俺が行って来ます」

部員から自然と沸き起こる拍手に、なんだかボランティアでもしたような心地よさを感じながら、必要な道具を持って二階へと上がる。
ついでに部室に投げてあった清潔そうなタオルを一枚拝借した。
もう、俺のハンカチは、使い物にならなくなっている。

ちなみに天気予報を信じるなら今日の最高気温は18度。
それでも、階段を上がるだけで額から汗が吹き出てくる。

これだけ新陳代謝がよければ、明日あたり、もう、驚くほどスリムになっていてもおかしくはない、気さえする。

今日は殿、どんな服を着ているだろうか……。
撮影室が近づくにつれて、そっちのほうが気になった。
昨日みたいな衣装だったらさすがに連れ出すのは難しそうだ。

心配になる。

「やぁ、バナナ。遅かったじゃないか」

撮影室のドアを開けた俺に、目が眩まんばかりの眩しい笑顔が注がれた。