とにかく、6時限目が終わったら俺はすぐに3年生の教室へと急いだ。
そう、巫女さんを呼んでこなければどんな目に合わされるか分かったもんじゃない。

くっそー。
こんなことなら痩せておけば良かった、と、心から後悔する。
たった一階あがるだけで、ここまで体力を奪われるなんて。

昨日の筋肉痛もまだ癒えてない俺は、必死の思いで階段を駆け上がる。傍から見たら、のろのろ上がっているようにしか見えないとしても、だ。

流れる汗をハンカチで吹いて、ゆっくりと巫女さんのクラスを探した。
なにせ、いつも不運だが今日の俺の運勢は朝からサイテイサイアクだ。
ここは一つ、深呼吸して落ち着かなくては……

「あ、バナナくん」

帰り支度をして教室から丁度出てきた巫女さんが、――もちろん今は、巫女の格好じゃなくて、学校指定の制服を着ていらっしゃる。――俺に目を留めてあろうことかにっこりと、女神の笑みまで零してくれたのだ。

うはぁああ!!

今日の不運、これで全部帳消しだな。
なんて、俺はちょっと調子が良すぎるだろうか。

でも、そのくらい綺麗だったんだ。背中に後光が射している。

「どうしたの?二年生だと思ってたんだけど」

いえ、その通りです。
でも、ここで失敗したら後で殿にどうされることか。
俺は言葉を選んで慎重に口を開く。

「あのですね、殿が部活設立の件でどうしても巫女さんに生徒会長室に来て欲しいといわれていて」

「そう」

ぱぁっと、巫女さんの顔が輝いた。