『じゃあ今日もしり上げから行きますか!』
足の下に緑のクッションが置かれ、
私は腹筋だか背筋だかに力を入れる。
ホントにこれだけはキライ
『3分!今日は3分頑張ろう!!』
ニヤニヤと笑いながら稲葉さんは首にぶら下げたタイマーを押す
私は3分ひたすらしり上げ
稲葉さんは隣のおばさんをマッサージ
楽しそうに話す稲葉さんの横顔を見ていると胸が痛かった。
相手がおばさんだとは言え、
私には耐えられないらしい。
バカみたい。
ホントに、バカ
私は結局どうしたいんだろうか
同級生に恋をする友だちは
「付き合いたい!」
なんて言ってるけど、
稲葉さんは同級生じゃない。
雲の上のような人
私が手を伸ばして届くような存在じゃないんだ。
だから簡単に
「付き合いたい」
なんて言えなくて。
かと言って付き合いたくないワケでもない。
結局私は、
稲葉さんの…彼女になりたいんだ
手が届かなくても
稲葉さんの1番近くにいたい