『じゃあここに足乗せて~
んで、しり上げしよー』
言われるがままに腹筋に力を入れておしりを上げる。
これが案外キツイ。
しかも左足はギブスでガチガチなワケで。
普通にやるよりも結構疲れる。
『結衣ちゃんって、なんか部活やってるの??』
稲葉さんは紙に何かを書いている。
「バスケやってます」
と、答えると
『この怪我は部活中に?』
なんて1番聞かれたくないことを聞かれる。
「あ…いや…体育の授業中に…」
だって、情けないじゃん。
体育の授業中に怪我、なんて。
しかもさ、誰かに何かされたワケでもなくて…
勝手に骨が折れたなんて笑い話にもならない。
『体育の授業中?
何やってたの??』
きょとんとした顔で私を見つめる稲葉さん。
その顔…ダメです。
あの…なんか…ダメ
うるさかった心臓がもっとうるさくなる。
稲葉さんって…ズルい
私をドキドキさせるばっかりで。
きっと、私のことなんてただの患者としか思ってないのに。
そう思うと胸の中がモヤモヤした