『じゃあ僕が来るまでは動かないでくださいね。

痛かったらナースコール押して下さい』


西表さんはそう言って私のところからどこかへ言ってしまった。


病室に戻ってきた私。

でも何もできずただ寝ているだけ。



「あんた…足、すごいことになってるよ」


西表さんが出て行った直後。

お母さんが突然吹き出した。



「え?どういうこと?」

私が首を傾げると、


「太もも、触ってみて?」

そう言われてゆっくりと触れる。



「…………なに…コレ…」


ありえない。

今のは絶対にありえない。


夢だ。

これもきっと夢。



試しに頬をつねる。

でも


「………いったぁい…」

頬は痛くて。



それは夢じゃないことを物語っていた。




そしてこんな私に
もうすぐ小さな…本当に小さな幸せが訪れようとは

このときの私はこれっぽっちも思っていなかった…