『血管…ないね…』


昨日に引き続き言われたこの一言



「血管、見つけにくいらしいです」

苦笑いしながら言った言葉に苦笑いが返ってくる。


初めに左腕


『あ…ごめんね

痛かった??』


1度入れた針はすぐに抜かれる。

それはきっと、失敗を示している。


「まあ…大丈夫です」

そう言って笑顔を浮かべたものの正直、痛くてどうしようもなかった。


西表さんは逆サイドに回る。

どうやら次は右腕にやるらしい。


少しドキドキしながらその様子を見つめていた。


でも今度は


『入ったよ~』


うまくいったらしい。



手術前にこんなにドキドキしてバカみたいだ。


これからもっとドキドキしなくちゃいけないのに私はとんでもなくビビりだなぁ…

なんて考えてみる。



『じゃあ1時から手術だからその30分前に移動するよ』


西表さんはその言葉を残し病室を出て行った。


手術まであと、3時間と30分