「なんで私がマッサージ師みたいなことしなきゃいけないんですかっ」
若干の恨みをこめて言うと指に力が入りすぎたらしく、稲葉さんが顔を歪める。
『いや…だってこっちゃったし?』
「こっちゃった、じゃないですよ。」
なおも不満げな私。
こんなこともしてくれるなら、私も入院したとき頼めば良かった。
「先生、終わりました。腹筋」
莉巳ちゃんがふぅ…と、一息つく。
「じゃあ5分休憩ね」
と、ニッコリ笑いかける。
『そう言えば莉巳ちゃん明日退院なんだっけ?』
稲葉さんが私のマッサージを受けながら聞く。
「残念ながら…
もっと先生と過ごしたかったです」
莉巳ちゃん…
なんて嬉しいこと言ってくれるの?
感激のあまり胸がジーンと…。
『うまいねぇ~まったく。
今時の中学生はお世辞がうまい!』
ちょっと稲葉さん?
なんか前より意地悪になってません??